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自家製:発芽装置
家庭の中でレタスはいつでも食べたい新鮮野菜のひとつなので、1年を通して栽培に取り組んでいます。もちろん家の内外で手軽にできる水耕栽培方式でです。
春や秋の環境条件が適切な頃合いのときは、種を蒔いてもすぐに発芽してくれます。
しかし、気温が低かったりして環境条件が良くないときは、ただ種を蒔いただけではうまく発芽してくれません。
春や秋の気温が適当なときは、2~3日程度で問題なく発芽します。しかし、気温の低い春先などには、発芽まですごく時間がかかったり、時には発芽しないようなときもあります。
また、緑色の植物がまったくない冬期間中に栽培を開始しようと思うと、通常通りやったのでは、100%発芽させることができません。
ですがそのような時でも、簡単な発芽装置があればいとも簡単に発芽 させることができます。なので、年中野菜栽培などに取り組む人にとっては、絶対に必要な装置となります。
まあそういうわけで、お金のかからないとてもシンプルな構造のものを作ってみました。ベースは展示会の参加記念にもらった、超低電力のUSBヒーターです。
構造
・広口瓶の蓋 :無料(あとでガラス製広口瓶小に変更)
・USBヒーター :無料(展示会参加記念品)
・架台(3個) :無料(ペットボトルの蓋)
・電源(5V) :遊休品転用(最初はパソコンに接続)
ということで、新たな費用の発生はありませんでした。
開発したときの経緯についてメモがありますので、以下に掲載します。
2013年4月2日:野菜の栽培開始時期と発芽用秘密兵器
今までは野菜の栽培開始タイミングにはあまりこだわらず、取り組んできました。
しかし、そのスタートするタイミングは、収穫を期待するものにとってとても大切であることがわかりました。
というのは、スタートするタイミングが遅いと、収穫できる期間が短くなるということです。
今まで2回ミニトマトをトライし今年は3回目ですが、2011年のときは5月に入ってからスタートしたため、11月にはまだ実がたくさんついているのに、寒さで成長が止まりリタイアとなりました。
なので去年は4月にスタート、そして今年は3月にスタートしています。
発芽までの期間:
今年を含めて3回取り組んだミニトマトですが、その発芽までの期間は次の通りです。
ここは東北の北側なので、かなり冷涼な地区ということでそのデータを見ていただけたらと思います。
[種蒔き] [発芽] [日数]
・一昨年: 5月 4日 → 5月11日 7日間
・去 年: 4月21日 → 5月 3日 12日間
・今 年: 3月17日 → 3月29日 12日間
去年と今年は、まだまだ寒い時期に蒔いたため、発芽まで12日間かかっています。去年は4月なのですが、通常の室内で発芽させたので、日数がかかっています。
しかし今年は、さらに1ヶ月以上早くもっと寒かったのですが、室内の暖かいファンヒーターの上に置いたため、実際以上に早かったのだと思われます。
秘策探査:
より短い期間でより早く発芽させるための秘策はないかと考えていたのですが、いいものが見つかっていませんでした。
2階の部屋の中でやっているので、まさか部屋の中にミニ温床を作るわけにもいきません。何か良いアイデアがないかなと、ずーっと考えていたのでした。
そして、ようやく秘密兵器を見つけました。それが一番下の写真です。何かわかりますでしょうか。実はこれはパソコンのUSBに差し込んで使う、ミニヒーターなのです。
USBポートに差し込んでおくと、ゆっくりゆっくりジワーっと暖かくなってきます。これを使ってミニ温床(=プラスチック弁当箱)を、裏から暖めようと考えたのです。
まだアイデアだけなので、試作してテストしたら、改めて記事を書きたいと思います。
2013年4月12日:秘密兵器「USBヒーター」で昇温テスト
先日ご紹介した発芽の秘密兵器「USBヒーター」で、昇温テストをしてみました。
要は何かの展示会の入場記念でもらった「USBヒーター」が、どれくらい培地の温度を上げることができるかを、確認したということです。
結論から言うと、
写真のような小皿(ではありませんが)において、
・水温:17℃ → 23℃ で 6℃上昇
となりました。
条件としては、パソコンからの供給電圧が5V。そのときの室温は、18℃でした。
いままで種を蒔いて発芽させたときのことを考えると、23℃というのはかなり良い温度ではないかと思います。
去年、今年と寒い時期の発芽実験では、発芽まで12日間かかっています。
それに対してこの秘密兵器を使った場合は、かなり期間短縮できるのかどうか、このあと確認の発芽実験をしてみたいと思っています。
2013年5月5日:簡易発芽装置は優れもの。2日できゅうりが発芽
もらいもののUSBヒーターを、ボトルのキャップ裏に貼り付けて簡易発芽装置に変身。きゅうりで発芽テストをしたところ、2日で芽が出てきました。
USBヒーターはパソコンのUSBに接続するもので、電源は5Vとなり電流値は数十mAの本当に小さなタイプ。長い時間かけてジワーと暖かくなる程度。
パソコンに接続するのは夜間まずいので、5Vのパワーサプライに接続して、スイッチON。
水温:
電源スイッチを入れる前は、水温は16℃でしたが、スイッチを入れると約15分後には24℃まで上昇。以後、その温度をキープ。
発芽状況:
簡易発芽装置にセットしたきゅうりは、2日後には発芽しました。とても早いです!
3月に蒔いたときは、5~6日かかっていました。そのときは寒かったので、いつも部屋のファンヒーターの上に皿を載せていました。5~6日 ⇒ 2日 です。
実験まとめ:
24時間通電していることにより、最速で発芽させることができることがわかりました。
これで寒い冬期間中でも、安定して発芽させることができるようになりました。
2013年5月7日:簡易発芽装置のきゅうり。変な発育状態に?
簡易発芽装置で2日で発芽したきゅうり。ヒョロリと伸びてごめんなさいをしています。いったいどうしたんでしょうか・・。
きゅうりの種を蒔き簡易発芽装置にセットしたのが5月1日。種の殻が割れて発芽し、根が伸び始めたのが5月3日。
そして5月4日には写真のようにヒョロリと伸び、頭の重さのためかごめんなさいとでも言うように、頭を垂れています。
発芽装置で急速に育てたらめ、何かおかしなことになっているのかを、調べてみました。
原因は:
水温が24℃で暖かく、そして上には透明カバーを被せているため、その中の温度も暖かくなっています。
さらには内部に多数の結露をているところから見ると、内部の湿度も非常に高い状態になっているようでした。
発芽している種の状態と新しく出てきた根の状態をよく見てみました。通常は双葉が上に出た状態で、根は下にどんどん伸びていき、いずれはスポンジ培地から伸び出すようになります。
しかし今回のものを見てみると、根は下のスポンジ内部には伸びておらず、表面で根がそのまま上に伸びていき、徐々に垂れ下がった状態となっていました。
つまり、根はスポンジ表面の少し下まででストップし、伸びた分は全て自身を上に持ち上げていたわけです。
内部の気温が高くて湿度があるため、空気中とスポンジや下の水温と差がない状態になったため、表面上で成長してしまったようでした。
対策は:
発芽した根がかなり空気中に出ている状態だったため、スポンジの割れている部分を押し開き、根をずっとスポンジの下まで下ろしてやりました。
茎と双葉はスポンジの上にして、根は全てスポンジの中に入るように。ようやく、正常にもどりました。
透明カバーをしたことが主な原因なので、種の殻が割れて根が少しでも出たら、カバーは外して通常の大気と触れるようにした方がよさそうです。
2013年5月9日:差が出る発芽時の温湿度管理について
種を蒔いた培地と上の空気中の温度に差がなく、さらに空気中の湿度が高いと根は培地の下側に向かって伸びないようだ。
根が下へ向かわない状態で成長を続けるので、結果として自信が上に持ちあがっていってしまうのである。そして最終的に頭が垂れ下がり、「ごめんなさい」状態となってしまうのである。
発芽装置の温度管理
以上のことより、発芽装置の温度管理は、2つのステップで管理するのが良いようです。
ステップ1:
「種を蒔いたところから殻がわれて双葉が出るころまで」
蓋を被せて、水温・培地・気温を同じように高めとし、空気中の湿度も高く保持してより発芽し易い状態を、全体に保つ。
・培地及び水温: 24℃
・空気温度 : 24℃
・ 〃 湿度 : 95%以上
ステップ2:
「殻が割れて双葉が出てきて以降」
培地と水温はそのまま保持するが、蓋は取り除いて気温と湿度は下がるようにするのが良い。
・培地及び水温: 24℃
・空気温度 : 20℃
・ 〃 湿度 : 40~70%(高くし過ぎないというレベル)
このように温湿度を2ステップに管理することで、より短期間で発芽させ、その後は根と双葉の成長を促進しつつ、正常に発育させていくことができると思う。
まとめ
先に報告したように、簡易発芽装置はスムーズな発芽をさせるのに大きな効果があることがわかった。
使うと使わないでは、倍以上の差が出るようである。
2013年5月11日:条件次第で根は空気中にも伸びる
先のきゅうりの発芽実験で、生まれて初めて根は斜め上方の空気中にも伸びていくという事実を確認しました。
前々回、簡易発芽装置使ってきゅうりの発芽実験をした記事を書きましたが、そこで蓋を被せて、水温・培地・気温を同じように高めに保つと早く発芽するのですが、そのあと根が培地の下側に伸びて行かないと書きました。
実はそのあと、初めてこの奇異な現象に気がついたのでした。
根は空気中にも伸びていく
どうも種を蒔いた培地や水温と、種のまわりの空気の温度に差がなくて、さらに湿度もかなり高い状態になっていると、根は培地の下側に伸びずに、上の空気中にも伸びるということのようです。
つまり、重力に従って下に伸びていくということではなく、あくまでも水分・養分に向かって伸びていくようなのです。
下の写真を見るとわかりますが、空気中の上方斜め30°くらいの方に向かって根が伸びています。
蓋を取り除くと根は培地へ
根が空気中に伸び出しているのを見て、空気中の温度を高くしすぎており、そして湿度がものすごく高いためだと思ったので、トーメイの蓋を取り除きました。
すると空気温度が下がり湿度も下がったので、空気中に伸びた根は少し細くなり(元気がなくなり)、下に向かってカーブして垂れ下がり始めました。一旦空気中に伸びた根は、枯れていくんだなと思いました。
現在は、枯れて細い糸のようになっています。
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